こんにちは。歯科医師の楊です。
矯正治療を考えている方からはよく「抜歯をする必要はありますか?」と、ご質問を頂くことがあります。むやみに健康な歯を抜きたくないという気持ちは患者さんも歯科医師も同じです。
今回は矯正治療に対する疑問や不安を少しでも解消するために矯正抜歯についてご説明します。
まず大前提として、当院の基本方針は
「できるだけ、抜歯はしない(80%)。無理な場合は、残念ながら抜くこともあります(20%)」です。
判断基準には以下の項目があります。
1・治療開始年齢
2・顎と歯のサイズのバランス
3・遺伝的骨格状態
4・歯の周囲の筋肉の状態
以上の項目を参考に、相談の上、抜かなくても矯正治療が可能かどうか診断します。
○どういう時に抜歯をおすすめするか
・顎のサイズに対して歯のサイズがとても大きい場合
歯の重なりが大きいと、きれいに並べるためのスペース確保のために抜歯をおすすめすることがあります
・顎が大きく前に出ている場合(重度の出っ歯や受け口など)
大きく前に傾いている前歯を後ろに引っ込めるためにスペースを作る必要がある場合があります
○抜歯せずに無理に矯正をするとどうなるの?
・口元が張り出しやすい
不十分なスペースに無理に歯を並べると、歯並びが全体的に前に膨らむ場合が多いです。「ゴリラ顔」になると表現される方もいます。
・歯の根っこが露出しやすい
前歯が前に突き出ると、顎に収まりきらない分、歯の根っこが露出する場合があります。知覚過敏を併発することもあります。
・「後戻り」を起こしやすい
矯正治療が終わった後は歯が元に戻ろうとする力がかかり、「後戻り」を起こすことがあります。前歯が突き出ている状態だと唇からの力で歯が圧迫されて後戻りしやすい場合があります。
歯は一生の財産です。なるべく健康な歯を残したいのは我々も同じ気持ちです。しかし、抜歯をすることでより満足のいく治療をご提供できる場合があることも事実です。抜歯が心配で矯正を迷われている方はいつでもご相談をお待ちしております。
2021年1月26日 (火)
カテゴリー未分類